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物流業界に迫る2024年問題とは? 包装資材業界も見直しが必要です!【vol.501】

作成日:2023年11月2日

最終更新日:2023年11月02日

タグ:#物流

物流の2024年問題とは?包装資材業界にとって重要な課題を解説します

物流業界にとって、2024年は大きな転換点になります。その理由は、働き方改革関連法の完全施行です。この法律によって、物流業界のドライバーの時間外労働時間が大幅に制限されることになります。これは、物流業界だけでなく、包装資材業界にも大きな影響を及ぼします。この記事では、物流の2024年問題とは何か、その背景となる働き方改革関連法について簡単に説明した後、物流業界や包装資材業界がどのような影響を受けるか、そしてどのような対策を取るべきかを詳しく解説します。

はじめに

物流の2024年問題とは何か、その背景となる働き方改革関連法について簡単に説明します

物流の2024年問題とは、2024年4月から完全施行される働き方改革関連法によって、物流業界のドライバーの時間外労働時間が大幅に制限されることになる問題です。トラックドライバーの「時間外労働」はこれまで上限がありませんでした。2024年4月より年間で960時間までに制限されます。また休憩時間も含めた「拘束時間」はこれまでの月間293時間から275時間に短縮されます。

これらの規制は、過重労働や長時間労働を防ぎ、ドライバーの健康や生活を守るために必要なものです。しかし、一方で、物流業界にとっては、運送力の減少やコストの増加など、深刻な経営課題を引き起こす可能性があります。

物流業界への影響

2024年問題が物流業界にどのような影響を及ぼすか詳しく説明します

物流業界は、日本経済の基盤とも言える産業です。しかし、この産業は長年にわたって人手不足や過重労働などの問題を抱えてきました。特にドライバー不足は深刻で、運送事業者多くがドライバー不足を感じています。また、ドライバーの平均年齢は50歳以上であり、高齢化も進んでいます。

このような状況下で、2024年問題が物流業界に与える影響は計り知れません。以下に、主な影響を挙げます。

  • 運送力の減少: 時間外労働時間や深夜労働が制限されることで、ドライバーが運べる荷物や走行距離が減少します。これは、物流業界の運送力を大きく低下させることになります。運送力の減少は、荷主や荷受人のニーズに応えられなくなるだけでなく、物流業界の競争力や収益性にも悪影響を与えます。
  • 配送コストの上昇: 運送力の減少によって、物流業界は配送コストを上げざるを得なくなります。特に、深夜労働が原則禁止されることで、夜間配送が困難になります。夜間配送は、交通渋滞や駐車場の確保などの問題を回避できるため、物流業界にとって重要な手段です。しかし、2024年問題によって、夜間配送が減少することで、昼間配送が増加し、交通渋滞や駐車場不足などの問題が悪化します。これは、配送時間や燃料費などのコストを高めることになります。
  • 人材確保の困難: 物流業界は、ドライバー不足を解消するために、若者や女性などの新たな人材の確保に努めてきました。しかし、2024年問題によって、物流業界の魅力が低下する可能性があります。時間外労働時間や深夜労働が制限されることで、ドライバーの給与が減少する恐れがあります。また、週休2日制が義務付けられることで、ドライバーの自由度や柔軟性が失われる可能性もあります。これらの要因は、物流業界への就職意欲や離職率に影響を与えることになります。

具体的な対応を行わなかった場合、2024年度には輸送能力が約14%(4億トン相当)不足する可能性があり、2030年度には輸送能力が約34%(9億トン相当)不足する可能性があります。

以上のように、2024年問題は物流業界にとって深刻な課題です。しかし、この課題は物流業界だけでなく、包装資材業界にも影響を及ぼします。

荷主への影響

物流の2024年問題が物流業界に大きな影響を及ぼすことは、前述の通りです。しかし、それだけではありません。運送を依頼している荷主にも大きな影響があり、2024年問題によって大きな変化を迫られることになります。

長距離輸送の制限

ドライバーの労働時間に上限が設けられることで、長距離輸送が難しくなる可能性があります。これにより、一定以上の距離を輸送することを断る運送会社も出てくるかもしれません。結果として、荷物を運ぶこと自体が難しくなる可能性があります。

集荷・締め切り時間の前倒し

残業規制が設けられると、物流会社はできる限り残業を減らす方向に動くでしょう。これにより、配送スケジュールが見直され、荷主企業への集荷時間が前倒しになる可能性があります。

物流コストの高騰

時間外労働の上限規制が適用されると、ドライバーの残業時間が減少します。これはドライバーの収入減少を意味し、その結果、基本給のアップが必要になるかもしれません。これは荷主への運賃値上げ要求につながる可能性があります。

荷主勧告制度にご注意

2019年に「改正貨物自動車運送事業法」が定められました。この制度では、法令違反の原因が荷主にあると判断された場合、改善要請に従わなければ国土交通大臣から勧告と公表が行われます。

以上のように、物流の2024年問題は、荷主にも大きな影響を及ぼします。この問題に対応するためには、どのような対策が必要でしょうか。次章では、その解決策を提案します。

対策と解決策

物流の2024年問題に対処するためには、物流業界や包装資材業界が協力して、対策を実施する必要があります。具体的には、以下のようなアクションプランを考えることができます。

リードタイムを延長する

リードタイムを延長することで、物流業界の時間外労働の制限に対応します。これにより、運送会社がスケジュールを柔軟に組むことが可能となり、効率的な運送が可能となります。

配送指定を緩和する

配送指定を緩和することで、運送会社は配送スケジュールをより自由に組むことができます。これにより、時間外労働の制限による影響を最小限に抑えることが可能となります。

荷待ち・荷役の時間を短縮する

荷待ち・荷役の時間を短縮することで、ドライバーの労働時間を有効に活用することができます。これは、ドライバーの時間外労働時間の制限に対応するための重要な対策となります。

出荷情報を事前に提供する

出荷情報を事前に提供することで、運送会社は配送スケジュールをより効率的に組むことができます。これは、時間外労働の制限による影響を軽減し、物流業界全体の効率化に寄与します。

運送を考慮した出荷指示を行う

運送を考慮した出荷指示を行うことで、運送会社は配送スケジュールを最適化し、ドライバーの労働時間を有効に活用することができます。これは、時間外労働の制限に対応し、物流業界全体の生産性向上に貢献します。

まとめ

これまで、物流の2024年問題とその背景、物流業界や包装資材業界への影響、そして対策と解決策についてお伝えしてきました。この問題は、私たちの業界にとって大きな課題ですが、それを乗り越えるチャンスでもあります。私たちの日ごろの業務を効率化するために、包装資材(主にシールラベルやフィルム袋や紙器パッケージ)の見直しが必要になります。包装資材は、物流業界の重要なパートナーです。適切な包装資材を選択することで、配送コストや環境負荷を削減し、商品の価値を高めることができます。私たちは、包装資材の専門家として、お客様のニーズに合わせた最適な提案をさせていただきます。物流の2024年問題に対応するために、ぜひ私たちにお問い合わせください。私たちは、お客様と一緒にこの問題を解決していきます。

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この記事の筆者

中嶋

OSP TOP NEWS 編集担当。
OSPの製品やサービスの情報から、包装や食品表示に関する法改正やトレンド情報まで、多岐にわたるジャンルの記事を20年以上にわたり執筆。
食品包装の豊富な知識を活かして、最近では製造メーカーの組合や、包材メーカーが主催の、衛生説明会に招かれて講師などを務める。
趣味はソルトルアーフィッシング。

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