加工食品の原料原産地表示制度|表示例や新たなルールについて
作成日:2021年4月23日
最終更新日:2024年07月18日
新しくなった加工食品の原料原産地表示制度。改正されたルールについて、シール・ラベルの表示例やQ&Aを用いて解説します。製作の際はぜひご活用ください。
目次
原料原産地表示制度とは

原料原産地表示制度とは、加工食品に使用された原材料の原産地を表示する制度のことです。表示をする必要がある原材料が生鮮食品の場合は、その産地が表示されます。加工食品の場合はその製造地が表示されます。
消費者へのメリット

今まで原材料の原産地に関する情報がまったく提供されていなかった加工食品に、新たに原産地が表示されるため、消費者が表示を見ながら商品を選べるようになるというメリットがあります。
原料原産地表示の義務化はいつから?
2017年9月1日より加工食品への原料原産地表示制度が始まりました。新しい原料原産地表示制度は、2022年4月1日より完全施行となっています。(2022年3月31日に経過措置期間は終了)
原料原産地表示制度の対象となる加工食品

原料原産地表示制度にはルールがあります。表示の対象となる食品のほか、必ずしも表示が必要ではない食品もあります。
◆表示対象の食品
国内で製造または加工されたすべての加工食品(輸入品除く)が、原料原産地表示の対象です。
◆表示対象になる原材料
製品に占める重量の割合が上位1位の原材料が、原料原産地表示の対象です。
◆ 表示を要しないもの
・加工食品を設備を設けて飲食させる場合(外食)
・容器包装に入れずに販売する場合
・食品を製造し、または加工した場所で販売する場合 (対面販売・直売所など)
・不特定または多数の者に対して譲渡する場合 (販売を除く)
・他の法令で表示が義務付けらている場合(米菓(国産)、ワイン(●●産)など)
※容器包装の表示可能面積が概ね30ai以下の場合は表示の省略が可能
ルール&原料原産地の表示例
新しくなった加工食品の原料原産地表示制度に関するルールを、表示例で分かりやすく解説します。
例1|すべての加工食品で重量1位の原材料の産地を多い順に表示

すべての加工食品において、重量順位が1位の原材料の原産国を表示するルールがあります。
2カ国以上の産地の原材料を混ぜている場合は多い順に国名を表示し、産地が3カ国以上ある場合は多い順に2カ国を記載します。3カ国目以降は「その他」と表示することも可能です。
例2|原材料がすでに加工品の場合

原材料がすでに加工品である場合、製造地を表示します。またここでの「○○製造」は作られた国という意味であり、産地とは必ずしも一致しません。
例3|輸入品は「大括り表示」も可能

「大括り表示」とは、3か国以上の外国産の原材料を使用、国産は不使用の場合に「輸入」と括って表示することをいいます。仕入れ先が頻繁に入れ替わるなど産地の重量順表示が難しい場合には、条件付きで例外表示が可能になります。
例4|その他の例外表示

例外表示の例として、おにぎりの海苔は、重量関係なく産地表示が必須です。
例5|誤認の可能性がある表示

原料の産地に関係なく国内で製造されたものなど、誤認の可能性がある表示は、優先的にチェックされるため注意が必要です。
原料原産地の表示方法に関する【Q&A】
複雑な表記や輸入品の表示など、 新しい原料原産地表示制度の表示方法についての疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1:1番多い原材料以外に、原産地の表示義務はありますか?

表示する義務はありません。2番目以降の原材料にも自主的な取り組みとして表示することは望ましいです。
Q2:もし表示が適正でなかった場合は?

原料原産地について虚偽の表示がされた食品を販売した個人は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となります。法人は、前述の行為者を罰するほかに、1億円以下の罰金に処せられることとなります。
Q3:「国内製造」「イタリア製造」とはどういう意味ですか?

「国内製造」とは、原産地は国産ではなく、外国産の原材料を国内で加工製造したという意味です。
「イタリア製造」とは、原産地はイタリア産ではなく、外国産の原材料をイタリア国内で加工製造したという意味です。
Q4:外食や店内で調理されている惣菜にも原産地が表示されますか?

その場で販売される食品は作った人にその場で確認ができるため、対象としていません。
店内調理されその場で販売されるものは、 原産地表示が省略できる商品です。 スーパーのバックヤードで調理されるお惣菜やお寿司なども省略できます。
Q5:原産地名で表示する場合、国産の表示方法は?都道府県名での表示もOK?

国産、日本産、日本などと国産である旨を表示します。「九州産」「関東産」など 、都道府県名やその他の一般的に知られている地名もOKです。また、「三陸沖」「釧路港」 など水域名、水揚げ漁港もOKです。
Q6:1番重量比が高い原材料にアレルゲンや遺伝子組換えの表示が必要な場合、表示方法は?

健康危害の発生を防止するため、優先して最初に表示をします。カッコ書きの組み合わせに注意が必要です。
しょうゆ(大豆・小麦)(国内製造)、食塩、のように(●●)(○○)とカッコ書きが続く表示もあります。
原料原産地表示制度のマニュアル・ガイドライン
新しい原料原産地表示制度のマニュアルは、農林水産省のホームページよりダウンロードできます。ガイドラインは消費者庁のホームページより確認することが可能です。
資料ダウンロード
新しい原料原産地表示のシール・ラベル製作に関しては、OSPまでお気軽にご相談ください。

この記事の筆者

中嶋
OSP TOP NEWS 編集担当。
OSPの製品やサービスの情報から、包装や食品表示に関する法改正やトレンド情報まで、多岐にわたるジャンルの記事を20年以上にわたり執筆。
食品包装の豊富な知識を活かして、最近では製造メーカーの組合や、包材メーカーが主催の、衛生説明会に招かれて講師などを務める。
趣味はソルトルアーフィッシング。