【酒類のラベル表示ガイドライン】表示義務や文字サイズについて
作成日:2016年12月14日
最終更新日:2024年07月23日
お酒のラベル表示は、消費者に製品の情報を提供し、適切な選択をサポートするために極めて重要です。
この記事では清酒・焼酎・果実酒を例に、シール・ラベル制作における表示のガイドラインについてまとめました。
また、今後注目されることが予想される「日本ワイン」のラベル表示ルールについても解説します。
目次
お酒のラベル表示に使用できる文字サイズ
酒類のラベル表示に使用する文字は基本的に、8ポイント以上の大きさ(品目表示を除く) で明瞭かつ見やすく表示する必要があります。例外として、内容量が200mℓ以下の容器であれば6ポイント以上の大きさでも問題ありません。
ラベル表示例|清酒

まずは清酒のラベル表示例をみていきましょう。表示が義務付けられている項目と、任意表示の項目があります。図の番号と照らし合わせてご参考ください。
表示義務となる項目
- 「清酒」または「日本酒」と表示。内容量により文字の大きさがあります。720㎖の場合、「清酒」は16ポイント以上。「日本酒」は14ポイント以上。
- 容器の内容量は㎖またはℓで表示します。
- 製造した年月を表示します。業界の自主基準のいずれかで表示します。
製造年月 平成29年10月
製造年月 2017.10
製造年月 29.10 - 1度単位または0.5単位で表示します。
- 原材料名です。業界の自主基準により、原料米の産地表示が必要です。
- 製造者の氏名または名称、所在地を表示します。
- 未成年者の飲酒防止の表示です。「飲酒は20歳になってから」などの文言で、5.5ポイントから6.0ポイントの大きさで表示します。
任意表示の項目
8.特定名称酒と呼ばれ、お酒の品位をあらわします。
例)「純米酒」「純米吟醸酒」「大吟醸」etc.
※条件によって異なります。
9.原料となる米の品種です。
10.精米の歩合を%で表示します。
健康問題・リサイクルの表示について

文字は6ポイント以上の大きさで表示します。
・任意表示
「妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります」、 「飲みすぎに注意」、「お酒は適量を」、 「空き缶はリサイクル」など
ラベル表示例|焼酎

焼酎にはいくつかの製法があります。今回は単式蒸留焼酎の表示例を紹介します。表示が義務付けられている項目と任意表示の項目があるため、図の番号と照らし合わせてご参考ください。
表示義務となる項目
- 酒類の品目を表示。内容量により文字の大きさがあります。
例)「本格焼酎」「焼酎乙類」etc.
720㎖の場合=10.5ポイント - 法に定める税率適用区分を同じくする1度の範囲内で表示します。
- 容器の内容量は㎖またはℓで表示します。
- 原材料名です。
- 製造者の氏名または名称、所在地を表示します。
- 未成年者の飲酒防止の表示です。「飲酒は20歳になってから」などの文言で、5.5ポイントから6.0ポイントの大きさで表示します。
任意表示の項目
7.「飲みすぎに注意」「お酒は適量を」など摂取に関する表示。
8.必要に応じて指示や警告の表示をします。
9.いもや米など特定の原材料の使用を強調する表示です。使用の割合が50%以上必要でないと表示できないなどの規約があります。「冠表示」と呼ばれます。
ラベル表示例|果実酒(ワイン)

日本ワインや国内製造ワインなど果実酒は世界や国内の方々から注目を浴びています。ラベル表示が義務付けられている9つの項目があるため、図の番号と照らし合わせてご参考ください。
表示義務となる項目
- 「山梨」とラベルに表示する場合、山梨産のぶどうを使用し県内で発酵、容器詰めしたものに限ります。
- 「果実酒」、「甘味果実酒」などの品目は、容器容量に応じて、10.5ポイント~26ポイントで表示。見やすい書体・色で銘柄名が記載してあるラベル面に表示します。
- 原材料名です。果実、濃縮果汁、原料ワインなどの原料に対しての原産地表示が必要です。
- 内容量は㎖またはℓで表示します。
- 製造者の名称、所在地を表示します。個人の場合は氏名を表示します。
- アルコール分を1度単位または0.5度単位で1度の範囲内で表示します。
例:13度以上14度未満の場合
①13度以上14度未満
②13.0度以上13.9度以下
③13度
④13%以上14%未満
⑤13.0%以上13.9%以下
⑥13% - 未成年者の飲酒防止の表示です。「飲酒は20歳になってから」などの文言で、5.5ポイントから6.0ポイントの大きさで表します。
- 原産国名です。輸入ワインが対象です。
- 添加物は国内製造ワインでは原材料名の中に、輸入ワインは別で独立して表示します。
今後注目される「日本ワイン」とは
これまで「国産ワイン」と呼ばれていたものには、国産のぶどうのみを原料にした「日本ワイン」の他に輸入濃縮果汁や輸入ワインを原料としたワインも混在していました。そのため、違いがラベルの表示だけでは分かりにくいという問題がありました。問題を解消すべく、2015年10月30日に国税庁が日本ワインのルールを定めました。
- 国産ブドウのみを原料
- 日本国内で発酵、容器詰めした果実酒
※海外の原料を使用したワインと明確に区別
国内製造ワインと日本ワインの区別

日本ワインは、日本のぶどう100%で作られたワインで、ぶどうの産地や品種、収穫年の表示が可能です。
日本で製造されるワインは、国産ブドウのみを原料にしたものから、他の原料も使用したものまで含まれます。ラベルには「国内製造ワイン」と表示されます。
日本ワインのラベル表示ルール

日本ワインは多様な製造方法と原材料を使用していますが、表示ルールにより分類されています。表示ルールの一部を紹介します。
- 産地名
- ブドウの品種
- 収穫年
を一定のルールで表示ができます。
・ワインの産地名が表示できる場合
産地で収穫したぶどうを85%以上使用して、産地内で醸成したワイン
・ぶどうの収穫地名が表示できる場合
収穫地で収穫したぶどうを85%使用したワイン
・醸造地名が表示できる場合
収穫地以外で収穫されたぶどうを使用して醸造地で醸造したワイン
資料ダウンロード
OSPでは、食品・飲料業界を中心に、長年数多くのラベルの制作・印刷を承ってきました。その中で培ってきたノウハウをもとに、ラベル制作に関してのご提案をさせていただいております。表示ラベルの印刷をご検討の方は、ぜひお気軽にOSPまでご相談ください。

この記事の筆者

中嶋
OSP TOP NEWS 編集担当。
OSPの製品やサービスの情報から、包装や食品表示に関する法改正やトレンド情報まで、多岐にわたるジャンルの記事を20年以上にわたり執筆。
食品包装の豊富な知識を活かして、最近では製造メーカーの組合や、包材メーカーが主催の、衛生説明会に招かれて講師などを務める。
趣味はソルトルアーフィッシング。