色彩や音といった新しいタイプの商標登録を可能とする改正商標法が2015年4月1日に施行されました。この記事では商標登録が可能となった新しい5つのタイプについて、わかりやすくご紹介いたします。
5つの商標一覧
種類 | 概要 | 事例紹介 |
音の商標 | 音楽、音声、自然音などからなり、視覚によって認識される商標 | CMなどで流れるメロディー |
---|---|---|
色彩のみの商標 | 文字や図形と組み合わされた色彩商標ではなく、イメージカラーを登録し保護する商標 | 消しゴムに使用されている上から青色、白色、黒色と縦幅を3分割しているイメージカラー |
動きの商標 | 図形などが時間によって変化して見える商標 | 映画のオープニング時などに流れる動画 |
ホログラムの商標 | ホログラムに映し出される図形などが見える角度によって変化して見える商標 | クレジットカードに用いられるホログラム |
位置の商標 | 特徴のある色や形を特定の位置に配置することにより認められる商標 | キーボード中央に配置されるトラックポイント赤色のボタン上のマウスの位置 |

音声や動画などの新しいかたちの商標登録がスタートし、すでに1,000件を超える出願があります。また2015年10月に登録が認められたのは合計43件になります。企業のブランド戦略として効果が期待されます。

どんな商標が出願されているか
実際に登録が認められた新商標をいくつかご紹介いたします。
音の商標

事例1:久光製薬
◆出願企業名:久光製薬
◆商標内容:ヒ・サ・ミ・ツ(長年TVCMで使用されているメロディ付きのメーカー名)

事例2:フジッコ
◆出願企業名:フジッコ
◆商標内容:ふじっこのおまめさん
事例3:伊藤園
◆出願企業名:伊藤園
◆商標内容:「おーいお茶」という人の音声。全体で4秒の長さである。
※歌詞やことば付きの音楽、音+声は登録できましたが、下記のような音のみの登録は今回は見送られています。
・曲だけの音楽
・エンジン音
・鳥の声
動きの商標

事例1:菊正宗酒造
◆出願企業名:菊正宗酒造
◆商標内容:日本酒の酒瓶を包んだ紫の風呂敷が四方に広がる。
※この「演出の仕方」は、指定商品が酒類でのみ独占ができます。他の指定商品で真似しても問題ありません。
事例2:東宝
◆出願企業名:東宝
◆商標内容:映画の冒頭に流れる「東宝」のロゴ。
※「動画」→例えばTVCMで流れるロゴや製品の「動き」も登録されています。
位置の商標

事例1:エドウィン
◆出願企業名:エドウィン
◆商標内容:ジーンズなどのポケット左上方側面に「EDWIN」と書かれた赤いタグを付ける。

事例2:ドクターシーラボ
◆出願企業名:ドクターシーラボ
◆商標内容:赤いリボンのワンポイントマーク。リボンの位置。

色彩のみの商標について
新しい5つのタイプのうち、色彩のみの商標に関しての認定は0件となっています。これは色彩のみで違う製品と識別するのが難しく、審査に時間が必要とされているためです。

自社ブランドを守るための登録
商標登録を行うことは自社のブランドを守るという意味合いもあります。
類似の模造品対策として効果を発揮します。
出願から審査の結果が出るまでは最速で4ヶ月かかります。

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