消費者の健康と安全を守るため、食品広告の虚偽・誇大表示は法律によって厳しく規制されています。この記事では、食品広告で禁止されている虚偽誇大広告の例と、その理由を解説します。また、違反した場合の法的な罰則についても詳しく説明します。
目次
食品の虚偽誇大広告等の禁止
食品に関する仕事をしていると、つい誇大表現を使いそうになります。そこで今回は、食品の健康増進法で知っておきたい内容をまとめました。食品として販売される物の健康保持増進効果等について、「著しく事実に相違する」「著しく人に誤認させる」ような広告等の表示(虛偽誇大広告等)は禁止されています。(参照:健康增進法第32条の2)
より詳しく知りたい方は、厚生労働省のホームページをご参考ください。
規制の対象と判断される広告とは

規制の対象と判断される広告は、以下の3要件すべてに該当する場合です。消費者が認識する広告等が規制対象なので注意しましょう。
- 顧客を誘引する意図が明確である広告等
- 特定の食品の商品名等が明らかにされている広告等
- 一般人が認知できる広告等
規制の対象となる事例
ここからは、規制の対象となる事例を紹介します。
1.表示例/厚生労働省から輸入許可を受けた健康食品です。

食品の輸入に関して、厚生労働省は個別の許可制度は設けていません。厚生労働省が食品の効果を個別に認証していると誤認されます。
2.表示例/最高のダイエット食品です

効果は個人の健康状態や生活等多くの要因によって異なります。現存する製品の中で最高の効果を発揮することは、立証できません。そのため、最上級の表現(絶対、最大級、日本一、抜群等)は虚偽表示に該当します。また、製造法についても同じです。
3.表示例/〇〇に効くといわれています

断定的表現によらず、伝聞や他社の表現を通じ(発信者が誰なのか明確でない)健康保持の可能性を表示することは誤認を与えます。誇大広告に該当します。
4.表示例/この食品〇〇に含まれる成分△△は、××テレビで紹介されました

テレビで取り上げられたと誇大に引用したり、一部分を引用したりするなど、広告と効能が著しく異なる場合は、誇大広告に該当する可能性があります。
5.表示例/ダイエットに効く〇茶(特許番号××号)

関係のない特許や、特許内容に相当する効果が無い場合虚偽、誇大広告に該当する可能性があります。
食品広告を虚偽誇大していた場合の罰則

食品として販売されている商品が、広告を使用し、健康保持増進効果などに該当していなければ規制の対象外です。しかし、「著しく事実に相違する」「著しく人を誤認させる」表示であった場合、違反や指導しても改善されないと、6ヵ月以下の懲役又は100万円以下の罰金の可能性があるので注意しましょう。
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まとめ
健康食品を扱っていると、お客様のためになると意気込んで、良い表示を使いたくなるかもしれません。虚偽誇大広告にならないように注意しましょう。
この記事の筆者

中嶋
OSP TOP NEWS 編集担当。
OSPの製品やサービスの情報から、包装や食品表示に関する法改正やトレンド情報まで、多岐にわたるジャンルの記事を20年以上にわたり執筆。
食品包装の豊富な知識を活かして、最近では製造メーカーの組合や、包材メーカーが主催の、衛生説明会に招かれて講師などを務める。
趣味はソルトルアーフィッシング。