「陸乃宝珠」ラベルを金属探知機で検出されない仕様に変更し生産性向上
株式会社 源 吉兆庵
- 業種・サービス
- 菓子製造・販売ほか
- 本社所在地
- 岡山県
株式会社 源 吉兆庵 商品部 チームリーダーの香本明広様に、大阪シーリング印刷株式会社(以下、OSP)とのお取引の経緯と、得られた効果について詳しくうかがいました。印刷技術で工夫を施してラベルの金色を再現し、金属探知機が反応しない仕様に変更したことで、生産効率が向上。ブランドが育んできた高級感を保ちながらコストカットを実現しました。
お客様の課題
- 金属探知機がラベルに反応するため、余分な工程が発生していた
- 製品の安全性を向上させながら製造現場を合理化したい
- 高級感のあるゴールドを表現し、ブランドイメージを守りたい
OSPの提案
- 金属探知機で検出されない原紙の採用
- アミ点を駆使した印刷手法により金色を再現
- 原紙・仕様の変更に伴うラベルコストの抑制
金属探知機がラベルに反応することで、手作業の貼り付け工程が発生していた
今回はラベルの仕様変更に取り組みました。ご相談いただいた経緯を教えていただけますか?
香本様:OSPさんと直接のお取引が始まったのは15年ほど前です。それ以来、当社で用いる様々な商品の化粧ラベルの製造をお願いしています。今回ラベルを切り替えたのは、岡山県産マスカット オブ アレキサンドリアを丸ごと一粒使用した「陸乃宝珠」という果実菓子です。5月上旬〜9月中旬の期間限定販売ですが、毎年好評をいただいている代表商品のひとつ。当社の中でも高級ラインの商品なので、それにふさわしい包装が必要になります。以前使用していた金色のラベルは高級感のある光沢が特徴でしたが、金属探知機に検出されてしまうという課題がありました。

ラベルが反応すると、どのようなデメリットが生じるのでしょうか?
香本様:本来は梱包が終わった形、つまり出荷時とほぼ同じ状態で金属探知機に通し、安全性を確認します。しかしラベルが反応してしまう商品は、ラベル貼りの前に金属探知機にかけ、その後でラベルを貼る必要があります。順序が違うことで余計な工程が発生し、しかも貼り付けは手作業となります。相当数を製造・出荷する人気商品なので、お客様からの引き合いに応える意味でも現場を合理化したいと考えていました。
どのような仕様変更を採用されたのか、教えてください。
香本様:金属探知機にかからない素材へ変更し、印刷上の工夫でゴールドの輝きを再現するという提案を受けました。まずベースである原紙を、ホイルタック紙からノンホイルタック紙に変更し、オレンジ色の不透明インクを印刷で乗せることでゴールドの輝きを再現する技法です。

印刷を工夫してゴールドを表現。高級感と生産効率を両立した仕様に
ラベルの仕様を変更する上で、どのような要素を重視されましたか?
香本様:陸乃宝珠は50年以上の歴史を持つ商品なので、これまで培ってきた信頼や高級感を損なわないよう、細心の注意を払いました。そのため、打ち合わせのたびに複数のサンプルを提示していただけたのは助かりました。インクの色合いや印刷上の工夫を微妙に変えただけでも、刷り上がったラベルから受ける印象は異なるのだと、よく分かりました。私たちの要望を伝えながら仕様を決めていき、最終的には自信を持って送り出せる質感になりました。仕様決定後はテストサンプルの用意も速やかに進めていただき、相談してから次の販売シーズンを迎える前に切り替えを完了できました。
ラベルが新しくなったことで、どのような変化がありましたか?
香本様:やはりインパクトが大きいのは生産効率の向上ですね。他の多くの商品と同様、梱包から金属探知機まで一貫して機械で完了できます。以前は、最後のラベル貼りを待つ製品が溜まってしまうこともあったのですが、ボトルネックが解消されたことを実感しています。加えて、手作業で生じていた人件費が削減でき、貼り付けの品質も安定しました。さらに材料を変えたことで、ラベル自体の価格も抑えられるという効果もありました。毎年数百万枚が必要となるラベルなので、その効果は相当なものになります。出荷前の工程が組み変わったことで、安全性もより100%に近い水準を実現することができました。
見た目の違いを懸念されていましたが、不安は解消できましたか?
香本様:新旧のラベルを並べて見ると違いがわかるものの、その風合いや雰囲気などは違和感なく受け入れてもらえるような仕上がりになっています。今回の変更に際して先様からの具体的な反応はありませんが、それこそが違和感なくお買い求めいただいている証だと考えています。高級感を保ちながら作業を効率化してコストカットする、という相反する課題を解決でき満足しています。
幅広いブランドの意図を汲み取り、課題解決につなげる提案力に信頼
多彩な菓子ブランドを展開されている貴社に、OSPはどのように貢献しているのでしょうか
香本様:高品質な製品を安定して納入していただけること、そして高い提案力を頼りにしています。現在、源 吉兆庵グループでは8ブランドを展開しており、OSPさんにも様々な商品のパッケージ資材の製造を依頼しています。それぞれターゲットや購入シーンが異なり、それだけに求められるデザインや質感にも幅があります。各ブランド担当者はこだわりと熱意を持って仕事に取り組んでいますが、どうしても印刷に関する知識は浅く広くなりがち。今回のラベルの変更のように、印刷技術を工夫してニーズに沿った提案をいただけるのは心強いですね。 特にコロナ禍以降、菓子材料もパッケージ資材も値上がりが続いています。菓子メーカーとしては、付加価値の向上とコストカットの2軸が不可欠ですが、OSPさんが提示する解決策には、その両方の視点が組み込まれています。直接私たちの意図を汲み取ってくださる担当者と、製造現場の技術者が密接に連携し、高い提案力を実現されています。蓄積されたノウハウを社内で共有、応用する土壌があるのだと感じました。
今後、OSPに期待されることは何でしょうか?
香本様:当グループは和菓子のイメージが強いと思いますが、洋菓子にも力を入れており、近年は海外進出も加速させています。今後はお客様のリクエストもますます多様化し、それに応えていく必要があります。ブランドや商品のイメージを演出するパッケージの役割もより大きくなるはずです。OSPさんには今後も柔軟でスピード感のある対応を続けていただき、あらゆる課題を一緒に解決していけたらと思います。
株式会社 源 吉兆庵について

国内外で高品質な菓子製造・販売を行うグローバル企業グループ。1946年の創業以来、伝統技術と季節感に根差した高品質な商品を開発している。代表ブランド「宗家 源 吉兆庵」では「陸乃宝珠」「珠びわ」など、旬の果実を生かした菓子を全国で販売。90年代以降は海外進出にも注力しており、顧客のニーズやマーケットに合わせて多彩な商品を展開し、菓子を通じて日本文化の魅力を世界に発信している。
https://www.kitchoan.co.jp/