正しい表示で安全を約束&価値を高める
食品パッケージ制作において、デザイン性もさることながら、表示内容が法律を遵守したものかどうかは非常に重要です。そこで今回は、正しい情報を提供して消費者の安全を守り、信頼を得るために押さえておくべき表示ルールの基本や注意点を、食品表示の専門家である塚狭智美さんに聞きました。表示ルールを守った上で価値を高めるテクニックも必見です。
食品パッケージの表示に関わる法律とは?
食品パッケージには商品名はもちろん、消費者の健康のために原材料や成分、また、よりたくさんの方に買っていただくために、魅力的なキャッチコピーの表示は必須です。こうした記載には全て法律が関わっており、何でも自由に記載してOKではありません。食品パッケージの表示に関係する法律は主に下記の3つ。正しく、魅力的なパッケージにするために、まずはこれらの概要を理解しておくことが大切です。
【食品表示法】
<目的>
食品を摂取する際の消費者の安全性と、適切な食品選択の機会を確保する。
<内容>
食品の名称、アレルゲン、保存方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分、原産地などの表示を義務付けている。
【景品表示法】
<目的>
不当な広告による誤認を防ぎ、消費者が自主的かつ合理的に商品やサービスを選べるようにする。
<内容>
商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することや、誇大な内容、不当な表示を規制している。
【薬機法】
<目的>
医薬品等の安全性や有効性を確保し、消費者の保健衛生上の危害を防ぐ。
<内容>
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などについて、開発、承認、製造、販売、広告などに関する規制を定めている。
≪POINT≫
健康食品は「食品」として扱われるため、医薬品のような効果効能を標ぼうするなど、薬機法の世界に入り込む表示をすると薬機法違反となります。
思わずやってしまいがち! NG表示の例
法律を理解していても、ついやってしまうNG表示。実際、全ての表示が厳しくチェックされるわけではなく、気づかれないまま販売に至り、後々違反が発覚することもあります。そうなると、商品回収や罰則などの対応が必要になりますし、企業のイメージダウンは必至。最悪の場合、消費者の健康に影響を与えることも考えられます。消費者の安全を守り、信頼される企業であるために、よくあるNG例から、注意点を解説します。
■CASE 1:食品表示法の強調表示違反
【低カロリーハンバーガー】
「低カロリー」と謳えるのは「100gあたり40kcal以下」と定められており、この条件を満たさない場合はNGです。同様に「カロリーゼロ」「ノンカロリー」「たっぷり」「豊富な」といった表示にも全て明確な基準があります。
◎この表示ならOK!◎
具体的に「○○バーガーより〇kcal オフ」という表示ならOKですが、他社製品との比較は難しいもの。実際は自社の従来品と比較して、「当社比でカロリー〇%OFF」といった表示がよく見られます。

■CASE 2:景品表示法の優良誤認表示違反
【最高品質のコーヒー豆】
「最高」「No.1」「世界一」といった表示を用いるには、客観的な根拠が必要です。
◎この表示ならOK!◎
具体的に「○○バーガーより〇kcal オフ」という表示ならOKですが、他社製品との比較は難しいもの。実際は自社の従来品と比較して、「当社比でカロリー〇%OFF」といった表示がよく見られます。

■CASE 3:景品表示法の優良誤認表示違反
【自然の野菜たっぷりのジュース】
「自然」とは人の手が一切加わっていない自生を意味するため、畑で育てられた野菜は「自然の野菜」とは言えません。また、「無農薬」「無化学肥料」という文言も現在は表示禁止です。
◎この表示ならOK!◎
該当野菜の栽培においてのみ農薬不使用なのであれば、「栽培期間中農薬不使用」と表示しましょう。
ただし、こうした表現はまわりくどい印象である上、条件が厳格なため扱いが難しく実際には「丹精込めて作りました」などの表現が使われがちです。

■CASE 4:薬機法違反
【肌に潤いを与える】【飲むだけで痩せる】
健康食品やサプリメントは医薬品ではなく食品なので、身体の組織にダイレクトに影響を与えるような効果効能を感じさせる記載はNGです。
◎この表示ならOK!◎
飲む人を応援する訴求表現ならOK。一般的に「肌の美容を望むあなたに」「ダイエットのサポートに」など、直接的な表現を避けた言い回しが多く用いられます。

■CASE 5:景品表示法の公正競争規約違反
【りんご果汁入りの飲み物に「りんごジュース」の表示&りんごの写真】
「ジュース」と表示できるのは、果汁100%のものだけ。果汁10%以上100%未満のものは「果汁入り飲料」、果汁10%未満のものは「その他の飲料」になります。
また、デザインに果実のリアルなイラストや写真、断面図、果汁のしずくを使用できるのは、果汁100%のものだけ。果汁5%以上100%未満になると、断面図やしずくは使用できません。果汁5%未満の場合はすべてNG。色や形で果実を連想させるような、図案化したイラストのみ使用可能です。

法を守りつつ差別化できる!? 表示ラベルの工夫
法に基づいた厳格なルールがあるのは、名称や原材料名などをまとめた表示ラベルについても同様です。ただし、法律の範囲内で独自の価値を高める工夫は可能。食品パッケージにおける脇役でありながら他社製品との差別化に寄与する、表示ラベルの工夫例を2つご紹介します。
■CASE 1:有名産地を表示して魅力度アップ
原産地については国名の表記が必須ですが、さらにそこから細かく、産地単位で表記することは独自の工夫ポイント。上手く取り入れれば、ブランド価値を高める効果が期待できます。

■CASE 2:同カテゴリはまとめて訴求力を高める
原材料名については個別に記載しがちですが、カテゴリごとの包括表示が可能なケースも。例えば下記のクッキーの場合、まとめることで全体における野菜の割合が2番手の16%となり、野菜を多く使ったクッキーであるという魅力が際立ちます。

正しく付けよう! 食品マーク
食品パッケージには、各種表示に加えて食品マークが付けられている場合があります。食品マークは、その食品の品質、特徴、認定状況などを示すものであり多種多様。法律で表示が義務付けられているものと、特定の基準を満たした食品に付けられるものがあります。その食品の特徴を一目で表す印だからこそ、ルールに沿って正しく付けることが重要です。
似ているけれど全然違う!?「 JASマーク」と「有機JASマーク」
食品マークの中で混同されがちな「JASマーク」と「有機JASマーク」ですが、両者の性質は大きく異なります。
「JASマーク」は、品質、成分、性能などについて、農林水産省が定めたJAS規格に適合している食料品などに付けられます。付けるかどうかは任意であり、マークなしでも販売は可能です。
「有機JASマーク」は、農薬・化学肥料不使用、遺伝子組み換え不使用、加工食品の場合は原材料内の95%以上が有機原料など、有機JASの規格を満たす有機農産物、有機畜産物、有機加工食品に付けられます。厳しい基準をクリアしたことの証明であり、消費者が安心して有機食品を選ぶための重要な印となるのです。なお、「有機JASマーク」は付けることが事実上必須であり、マークなしの場合は「有機」「オーガニック」と表示することはできません。

最新情報は随時チェック
食品表示に関わる法律はアップデートされていくため、常に最新情報を確認しましょう。基本的な情報提供・相談窓口となるのは、消費者庁。また、自社での対応に不安がある場合、民間の食品表示代行サービスを利用するのも一つの手です。
●最新情報はこちら(消費者庁webサイト)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/









