外国人観光客の“買いたい”を引き出すパッケージの工夫

外国人観光客の“買いたい”を引き出すパッケージの工夫

作成日:2025年07月29日最終更新日:2025年08月25日

株式会社やまとごころ​|代表取締役

村山 慶輔

2007年より国内最大級のインバウンド観光情報サイト「やまとごころ.jp」を運営。観光庁「観光DX推進のあり方に関する検討会」の有識者メンバーほか、国や地域の観光・インバウンド政策に幅広く携わる。NHKをはじめ、多数のメディアにも出演。東京都立大学非常勤講師。観光バリューアップ実践会主宰。

目次

    消費額は8兆円超!インバウンドという商機をつかむ

    観光庁の発表によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は総額8兆1,257億円と推測されます。さらに2025年は大阪・関西万博の開催もあり、勢いはさらに加速するでしょう。この大きなビジネスチャンスを逃さないためにはどうすべきか?パッケージの視点で、インバウンド消費を考えます。

    外国人観光客は何にお金を使うのか?

    観光庁による、訪日外国人旅行消費額を費目別に見ると、宿泊費が最も高く、次いで買物代、飲食費となっています。近年、消費対象はモノからコトへとシフトしつつあるものの、やはりモノを買うという消費は残るでしょうし、今後も増えていくと思います。
    どこで何を買うかという点では、やはり宿泊先の近くにあるコンビニやスーパー、ドン・キホーテなどのディスカウントストアやドラッグストア、そして帰りの空港で菓子類や食料品を買う方は多いです。衣類については、ショッピングセンターや百貨店・デパートで多く購入されていると思います。
    一方、昨今はコト・モノ消費の連動性も高まっています。例えば、相撲の観覧・体験施設では、記念やお土産としてアパレルや雑貨などのグッズがよく売れています。伝統工芸の工房で見学や制作体験をして、帰りにそこで作られた作品を購入するケースも多いでしょう。
    なお、近年はSNS上に、外国人観光客による「日本で買うべき商品」の情報が溢れています。また、外国人観光客に大人気のドン・キホーテでは独自にヒット商品ランキングを発表しています。今のリアルなトレンドが分かりやすいので、ぜひ参考にしてみてください。

    買い物で起きている困り事とは?

    まずは、中身が見えないパッケージが多いことです。特に菓子類などの土産物は、過剰包装されている商品も少なくありません。高級感や気配りの観点からでしょうが、外国人観光客にとっては中身が見えず、購入をためらってしまいます。また、欧米の方などからは環境配慮の観点から、エコではない過剰包装が懸念される場合もあります。
    また、パッケージの言語表記も、困り事の定番です。日本語表記のみの場合、多くの外国人は何が書いてあるのか分かりませんし、特にアレルギーや宗教上の制約などがある人にとって、食品の成分表示を理解できないのは大きな問題です。こうした状況を受け、最近では貼付のQRコードをスマホで読み込むと、ユーザーの使用言語で商品説明が表示されるサービスも普及しつつあります。こうした取り組みも含めて、何かしらの対策は必要でしょう。
    さらに、旅行客にとっては土産物がかさばることも悩みの一つ。そのため、ニーズに合わせて容量やパッケージをコンパクトにした、少量パックの商品も増えてきています。

    選ばれるお土産の特徴は?

    まず、前述の困り事を踏まえたパッケージの土産物は選ばれやすいと言えます。透明なパッケージで中身がきちんと見えるもの、日本語だけではなく多言語表記をしているものは安心感があり、手に取りやすいでしょう。持ち運びやすいサイズや形状も重要な要素ですね。
    加えて、注目されるのは「日本らしさ」です。漢字Tシャツを着た外国人観光客を見たことがあるかもしれませんが、デザインやパッケージに日本語や漢字が大きく印字されていたり、毛筆のような書体が使われていたりすると、デザイン的にカッコいいと捉えられて目を引きます。また、一目で日本製=高品質な商品だと連想されやすいので、価値が高まると言えます。さらに日本通の方にとっては、桜や富士山などをモチーフとした和柄デザインが施されている商品が好まれますし、お店の歴史や職人の業などのストーリーが伝わる表示、日本限定を示す「JAPAN LIMITED」といったアイコンなどもポイントになるでしょう。特に欧米の方は、自国とは違う文化に触れたいという興味が強いため、こうしたデザインの商品や、伝統工芸品を好んで購入される傾向があります。
    商品自体の魅力はもちろんですが、それをどのように見せるのか。パッケージの工夫次第で、自社の商品を外国人観光客に愛される商品へと発展させることができるのではないでしょうか。

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